カフェを開業するとき、多くの人が悩むのが「個人事業主で始めるか、法人で始めるか」という問題です。

私は開業と同時に法人(株式会社)を設立しましたが、周りのカフェオーナーを見ると、ほとんどが個人事業主でスタートして、店舗数を増やすタイミングで法人化しています。

この記事では、私の実体験と周りのオーナーの話をもとに、「どっちで始めるべきか」「いつ法人化すべきか」を正直にお伝えします。


私は最初から法人、でも周りは個人スタート

私がカフェを開業したとき、最初から株式会社として法人を設立しました。

理由は主に3つです。

  1. 与信・信用力を確保したかった
  2. 複数店舗展開を視野に入れていた
  3. 融資や資金調達をスムーズに進めたかった

一方で、周りのカフェオーナーに聞くと、ほとんどが「まずは個人事業主でスタートして、2店舗目・3店舗目を出すタイミングで法人化した」と言います。

どちらが正解、というわけではありません。ただ、選択によってメリット・デメリットがあるので、自分の状況に合わせて判断することが大事です。


個人事業主 vs 法人、どう違う?

まずは、個人事業主と法人の違いを整理しておきましょう。

項目個人事業主法人(株式会社)
開業コストほぼ0円(開業届を出すだけ)約20〜25万円(登記費用)
税金所得税(累進課税)法人税(一定税率)
社会保険国民健康保険・国民年金社会保険(厚生年金・健康保険)※強制加入
与信・信用力低い高い
融資・資金調達やや不利有利
事務処理比較的シンプル複雑(決算書類、税務申告)
税理士費用不要〜月1〜2万円月3〜5万円が相場(私は使っていません)

ざっくり言うと、個人事業主は「手軽でコストが安い」、法人は「信用力が高く、事業拡大に有利だけど初期コストと事務処理が重い」という感じです。


法人化の最大のメリット=「与信」

私が最初から法人を選んだ一番の理由は、与信・信用力です。

個人事業主の同業オーナーと話していると、この差は本当に大きいと感じます。

銀行口座開設がスムーズ

法人口座を開設するとき、法人の方が審査が通りやすいです。個人事業主だと、屋号付きの口座を作るのにも時間がかかったり、そもそも審査が厳しかったりします。

法人なら、登記簿謄本を提出すれば比較的スムーズに口座開設ができます。

融資・資金調達で有利

日本政策金融公庫や銀行から融資を受ける際も、法人の方が有利です。

個人事業主でも融資は受けられますが、法人の方が「事業としての本気度」が伝わりやすく、審査が通りやすい傾向があります。

取引先・カード審査で差が出る

地味に大きいのが、取引先やカード審査での信用力の差です。

例えば、ガソリンスタンドの法人カードを作るとき、個人事業主だと「個人名義」でしか作れません。でも法人なら「法人名義」で作れるので、経費管理がめちゃくちゃ楽になります。

ガソリン代、仕入れの車移動、配達など、カフェ経営では車を使うことが多いので、この差は意外と大きいです。


いつ法人化すべき?判断基準

「じゃあ、いつ法人化すればいいの?」という疑問について、私の周りのオーナーの事例をもとにまとめます。

パターン1:最初から法人(私のケース)

こんな人におすすめ:

  • 融資を受けて開業する予定
  • 最初から複数店舗展開を視野に入れている
  • 取引先や銀行との信用を早めに確保したい
  • 初期コスト20〜25万円が負担にならない

パターン2:個人でスタート→軌道に乗ったら法人化

こんな人におすすめ:

  • まずは小規模でスタートして、様子を見たい
  • 初期コストを最小限に抑えたい
  • 1店舗のみで、複数展開の予定はない
  • 事務処理をシンプルにしたい

法人化を検討するタイミング

周りのオーナーに聞くと、こんなタイミングで法人化を検討する人が多いです。

  • 年間売上が1,000万円を超えた(消費税の課税事業者になるタイミング)
  • 年間利益が500〜600万円を超えた(所得税より法人税の方が有利になる)
  • 2店舗目を出すことになった
  • 従業員を正社員として雇うことになった
  • 融資を受けたい、または設備投資をしたい

法人設立の実際の手続きと費用

私は自分で法人を設立しました。司法書士に頼むこともできますが、コストを抑えたかったので自分でやりました。

株式会社設立にかかる費用(2026年最新)

  • 登録免許税:15万円(資本金×0.7%、最低15万円)
  • 定款認証手数料:1.5万〜5万円(資本金によって変動)
  • 収入印紙代:4万円(電子定款なら0円)
  • 定款謄本手数料:約2,000円
  • 会社印鑑:1万〜2万円

合計:約20〜25万円

電子定款で手続きすれば、収入印紙代4万円が不要になるので、約20万円で設立できます。

司法書士に依頼すると、手数料が5〜10万円プラスされて、合計25〜30万円くらいになります。

私は自分でやりましたが、法務局に何度か足を運ぶ必要があったので、時間がない人は司法書士に頼むのもアリだと思います。


法人化後の実務面:税理士は必要?

法人化すると、「税理士を雇わないといけないのでは?」と心配する人もいますが、実は必須ではありません。

私は税理士を雇っていません。弥生会計ソフトを使って、自分で経理と税務申告をしています。

税理士を雇わないメリット

  • コストが抑えられる(税理士の顧問料は月3〜5万円が相場)
  • 自分でお金の流れを把握できる

税理士を雇わないデメリット

  • 決算・税務申告の手間がかかる
  • 税務の知識が必要
  • ミスがあると税務署から指摘される可能性

私の場合、もともと経理の知識があったので自分でやっていますが、不安な人は税理士に依頼した方が安心です。

ただ、最近の会計ソフト(freee、マネーフォワード、弥生)はかなり優秀なので、簿記の知識がなくても意外となんとかなります。


社会保険の負担は重い?

法人化すると、社会保険(厚生年金・健康保険)への加入が義務になります。

個人事業主の場合は国民健康保険・国民年金ですが、法人の場合は社会保険に切り替わります。

社会保険料の目安

役員報酬を月30万円に設定した場合、社会保険料は月4〜5万円くらいになります(会社負担分と個人負担分の合計)。

個人事業主の国民健康保険・国民年金と比べると、負担は増えます。ただ、将来もらえる年金額も増えるので、一概にデメリットとは言えません。


最初から法人を選んだ私の本音

良かったこと

  • 銀行口座開設がスムーズだった
  • 融資の審査が通りやすかった
  • 法人名義のカードやリースが組めて、経費管理が楽
  • 複数店舗展開をする際の準備がすでに整っている

大変なこと

  • 設立に20万円以上かかった
  • 社会保険料の負担が重い
  • 決算・税務申告の手間がかかる

もし個人でスタートしていたら?

正直、「まずは個人事業主で始めて、軌道に乗ったら法人化」という選択肢もアリだったと思います。

ただ、私の場合は最初から融資を受ける予定だったので、法人にして良かったです。


まとめ:あなたはどっちで始めるべき?

最後に、個人事業主と法人、どちらで始めるべきかをまとめます。

個人事業主で始めた方がいい人

  • まずは小規模でスタートして、様子を見たい
  • 初期コストを最小限に抑えたい
  • 1店舗のみで、複数展開の予定はない
  • 事務処理をシンプルにしたい

最初から法人で始めた方がいい人

  • 融資を受けて開業する予定
  • 最初から複数店舗展開を視野に入れている
  • 取引先や銀行との信用を早めに確保したい
  • 初期コスト20〜25万円が負担にならない

法人化を検討するタイミング

  • 年間売上が1,000万円を超えた
  • 年間利益が500〜600万円を超えた
  • 2店舗目を出すことになった
  • 従業員を正社員として雇うことになった
  • 融資を受けたい、または設備投資をしたい

カフェ開業は、やることがたくさんあって大変です。個人事業主か法人かで悩んだら、まずは自分の「どんなカフェを作りたいか」「どのくらいの規模で始めたいか」を考えてみてください。

どちらを選んでも、あとから変更できます。まずは一歩を踏み出すことが大事です。

あなたのカフェが、素敵なお店になりますように。応援しています!