「売上を増やしたいから、営業時間を延ばそう」

そう考えたことはありませんか?私も開業当初、売上が伸び悩んでいた時期に、営業時間を延ばせば売上が増えるんじゃないかと考えました。

でも実際にやってみて気づいたのは、営業時間を延ばしても売上は比例して増えないということです。

むしろ、人件費や光熱費が増えて、利益が減ることすらあります。

この記事ではパレートの法則(80:20の法則)を使って、カフェの営業時間をどう最適化すればいいのかを解説します。実際の売上データも交えて、具体的に考えていきましょう。


パレートの法則(80:20の法則)とは?

パレートの法則とは「全体の8割の結果は、2割の要素が生み出している」という法則です。

イタリアの経済学者ヴィルフレド・パレートが発見した法則で、ビジネスのあらゆる場面に当てはまります。

パレートの法則の例

  • 売上の8割は、全商品の2割が生み出している
  • webサイトの8割のアクセスは、全ページの2割に集中している
  • iPhoneユーザーの8割は、全機能の2割しか使っていない
  • 企業の売上の8割は、全顧客の2割が生み出している

つまり、「重要な2割」に集中すれば、効率的に結果を出せるということです。

カフェの営業時間にパレートの法則を当てはめると?

カフェの営業時間にパレートの法則を当てはめると、こうなります。

「1日の売上の8割は、営業時間の2割で生み出している」

例えば、営業時間が10時間なら、そのうち2時間(ランチタイム)で売上の8割を稼いでいる、ということです。

残りの8時間は、売上の2割しか生み出していません。


実際のカフェの売上データで検証してみる

具体的な数字で考えてみましょう。

営業時間10時から20時(10時間)

1日の売上目標:5万円

時間帯売上累計売上累計比率
10時〜11時3,000円3,000円6%
11時〜12時5,000円8,000円16%
12時〜13時12,000円20,000円40%
13時〜14時15,000円35,000円70%
14時〜15時5,000円40,000円80%
15時〜16時5,000円45,000円90%
16時〜17時2,000円47,000円94%
17時〜18時0円47,000円94%
18時〜19時2,000円49,000円98%
19時〜20時1,000円50,000円100%

この表から分かること:

  • 12時〜15時の3時間で32,000円(64%)の売上
  • 17時〜20時の3時間で3,000円(6%)の売上

つまり、同じ3時間でも、売上は10倍以上の差があります。

営業時間を延ばすべき?短くすべき?

この売上データを見て、こう考えたくなりませんか?

「17時〜20時の3時間、営業しても3,000円しか売上がないなら、いっそ閉めた方がいいんじゃないか?」

実際、その通りです。

17時〜20時の3時間の「コスト」を計算してみる

項目金額
スタッフ人件費(時給1,200円×3時間)3,600円
光熱費(3時間分)約500円
原価(売上3,000円の30%)900円
合計コスト5,000円

売上:3,000円 コスト:5,000円 利益:-2,000円(赤字)

つまり、17時〜20時の3時間は営業すればするほど赤字です。

じゃあ、営業時間を短くすればいいの?

単純に「17時〜20時を閉める」という判断でいいのでしょうか?

答えは、ケースバイケースです。

営業時間を短くする前に考えるべきこと

1. その時間帯にしか来れないお客様がいる

夕方〜夜にしか来れない常連さんがいる場合、その時間を閉めると顧客を失います。

ただし、実際に話を聞いてみると「この時間が空いてるから来てる」という人も多く、ランチタイムでも来れる場合があります。

2. 営業時間の短縮でブランドイメージが下がる

「夜もやってるカフェ」という認識があるお客さんにとって、営業時間が短くなると「やる気がなくなったのかな?」と思われるリスクがあります。

3. 夕方の売上をランチに移せるか?

もし、17時〜20時の3,000円の売上を、12時〜15時のランチタイムに獲得できれば、夕方は閉めても問題ありません。

実際にやってみた私の判断

私の場合、開業当初は10時〜20時で営業していましたが、売上データを分析して18時閉店に変更しました。

変更前:10時〜20時(10時間) 変更後:10時〜18時(8時間)

変更後の結果

  • 売上:ほぼ変わらず(1日5万円→4万8千円)
  • 人件費:月10万円削減
  • 利益率:15%→20%にアップ
  • スタッフの満足度:向上(早く帰れるので)

夜の営業をやめたことで、「夜も営業して欲しい」という声は数件ありましたが、その方たちに「ランチタイムもぜひ来てください」と伝えたところ、実際に来てくれるようになりました。

パレートの法則を活用した営業時間の最適化ステップ

ステップ1:時間帯別の売上を記録する

まずは、1時間ごとの売上を記録しましょう。1週間〜1ヶ月分のデータがあれば十分です。

記録する項目:

  • 時間帯(11時〜12時、12時〜13時…)
  • 売上
  • 来客数
  • 客単価

ステップ2:売上の多い時間帯を特定する

データを集計して、売上の8割を生み出している時間帯を特定します。

ほとんどのカフェは、ランチタイム(11時〜15時)に集中しているはずです。

ステップ3:売上の少ない時間帯のコストを計算する

売上の少ない時間帯(例:17時〜20時)のコスト(人件費、光熱費、原価)を計算します。

売上 < コストなら、その時間帯は赤字です。

ステップ4:営業時間を変更するかどうか判断する

以下の条件を満たすなら、営業時間を短くすることを検討しましょう。

  • 売上の少ない時間帯が赤字になっている
  • その時間帯の常連客が少ない(または他の時間に誘導できる)
  • スタッフの労働環境を改善したい
  • 人件費を削減したい

営業時間を短くする以外の選択肢

「営業時間を短くするのは勇気がいる」という人もいるでしょう。その場合、以下の選択肢もあります。

1. 夜の時間帯限定メニューを作る

夜にしか食べられない特別メニュー(ディナーセット、お酒、夜限定スイーツ)を作って、客単価を上げる。

2. イベントやワークショップを開催する

夜の時間帯にイベントを開催して、集客する。ただし、準備の手間とコストを考えると、よほど集客できる自信がない限りおすすめしません。

3. 予約制にする

夜は予約が入ったときだけ営業する。これなら無駄な人件費を削減できます。

4. テイクアウト専門にする

夜は店内営業をやめて、テイクアウトのみにする。スタッフ1人で回せるので人件費が削減できます。

よくある質問

Q1. 営業時間を短くすると、お客さんが減りませんか?

A. データを見る限り、影響は限定的です。むしろ、余裕ができた分、ランチタイムのサービス品質が上がって、リピーターが増えることもあります。

Q2. 競合店が夜まで営業していたら不利になりませんか?

A. カフェの競争力は営業時間の長さではなく、商品の質、接客、雰囲気で決まります。夜まで営業していても赤字なら意味がありません。

Q3. スタッフから「営業時間を短くしたくない」と言われたら?

A. スタッフの労働時間が減ると収入も減るので、そう言う人もいます。ただ、赤字の時間帯を営業し続けるのは、店の経営を圧迫します。データを見せて、理解してもらいましょう。

まとめ:パレートの法則で「効率的な営業」を目指そう

カフェ経営で大事なのは、売上を最大化することではなく、利益を最大化することです。

営業時間を延ばせば売上は少し増えるかもしれませんが、コストも増えるので利益は減ります。

パレートの法則を活用して、「重要な2割の時間帯」に集中することで、効率的に利益を出せるようになります。

今日からできること:

  1. 時間帯別の売上を記録する
  2. 売上の8割を生み出している時間帯を特定する
  3. 赤字の時間帯があれば、営業時間の短縮を検討する

データに基づいて判断すれば、感情や思い込みに左右されず、合理的な経営ができます。

あなたのカフェが、もっと利益の出る店になりますように。応援しています!